『青柳』1924年作品 |
それ以来、小村雪岱はもっとも好きな画家のひとりである。版画作家とか、装幀家、挿絵画家と呼ばれているが、センスの良いイラストレーターのように私には思える。色彩がものすごく良い。
雪岱の絵を見ると大川があったなら、と思わないではいられない。東銀座の金田中や新橋演舞場のあたり、首都高じゃなくて川だったらどんなに素敵だっただろう。夜になると新内流しの舟が。。。。
『河岸』1942年作品 |
有名なのは泉鏡花の作品の装幀で、12月に坂東玉三郎が演じる『日本橋』は大川(隅田川)岸に並ぶ蔵が江戸気分をくすぐる。初版本が欲しいが高い。
邦枝完二の『おせん』など小説の挿絵も多く手掛けている。完二の娘に生まれ、デザイナーとなったのがクニエダヤスエさんだ。日本で一番センスがいいのもむべなるかな。
泉鏡花『日本橋』 |
しかしインテリア的には本より額装したい。フレームに入れて飾りたいと、少しずつ版画を買っているが一番欲しい三味線の部屋はいまも手に入っていない。
長唄を30年あまり習ったせいか、それともどこかに江戸の玄人の血がはいっているのか、花柳界に妙に反応するところがある。小説も繰り返して読むのは幸田文の『流れる』。
自分の中に眠っているものがあるのは、不思議なことである。
ホテルニューオータニ美術館で『大正・昭和のグラフィックデザイン 小村雪岱展』開催中。〜11/25
小村雪岱展